"Distant Echo"
Piano & Live Painting
25/11/14
“Distant Echo” is an installation concert for piano, live painting, and near-field spatial sound. Three different kinds of time meet in one space: the bodily time of live painting, the technological time of AI-based morphing, and the listening time that emerges when sound is perceived as distance and depth. Built upon minimalist electronics, breathing-based phrasing, and acoustic improvisation, the album blends field recordings, orchestral fragments, and spatial 3D sound to create music that composes not only sound, but space itself.
ピアノとライブペインティング、 そしてニアフィールド立体音響によって構成されたインスタレーション作品です。 能登真理亜によるライブペインティングが刻む「身体の時間」、 TouchDesigner と AI モーフィングが走らせる「テクノロジーの時間」、 そして、音を立体的に“聴こうとする”ことで立ち上がる「意識／聴覚の時間」。 異なる三つの時間が同じ空間で対峙し、交差し、観客の歩みによって編集されていく—— そのプロセスそのものを作品として提示する試みです。
Concept
“Distant Echo” asks how we can stand in relation to technology, not as something that simply overwhelms us, but as something we can re-negotiate through listening and distance. By treating spatial sound as a way of sculpting distance, the piece invites the audience to move, to choose their own position, and to experience time as something relative rather than linear.
今日、AI やリアルタイム映像技術は、私たちの日常や創作の速度を加速させ続けています。 一方で、身体は「いま」という時間のスピードでしか動けません。 《Distant Echo》では、 身体の速度でしか進まないライブペインティング、 膨大なデータを一瞬で走査する AI 映像処理、 そして、耳で「距離」を測ろうとする立体音響の体験、 この三つを同じ空間に並置し、その“ズレ”をそのまま可視化／可聴化しています。 観客は、会場内を自由に歩きながら、 どのレイヤーに近づき、どのレイヤーから離れるのかを、自分の身体で選び取ります。 そのとき、テクノロジーとの距離 感や、時間の感じ方そのものが、 少しだけ相対化されていくのではないか—— そんな仮説から生まれた作品です。
Installation & Experience
The audience is free to walk around the space: approaching the piano and the painter, moving closer to or further from the speakers, and stepping into different layers of sound and image. Instead of a fixed “front” and “back,” the work is experienced as a field to be navigated.
ピアノとライブペインティングが置かれた中心のエリア 耳の高さ近くに配置された 2 本のスピーカーによるニアフィールド音場 TouchDesigner によるリアルタイム映像と AI モーフィング 観客は、定められた客席に座るのではなく、 壁際を歩いたり、演奏者のすぐそばまで近づいたりしながら、 自分自身で「どの距離から作品を見る／聴くのか」を選ぶことができます。 一曲目の映像の中に“入り込む”ような感覚と、 ライブエレクトロニクスと即興性が混ざり合う時間の伸縮。 そのあいだを回遊すること自体が、《Distant Echo》の重要な体験の一部となっています。
Sound & Technology
The piece relies on only two loudspeakers, yet aims to evoke a binaural, near-field spatial depth. Piano internal sounds, mechanical noises, and extended resonance are layered with live electronics and saxophone processing (in the opening set), while Ableton Live, Max for Live, and TouchDesigner are linked in real time.
音響はあえて 2 チャンネルのスピーカーのみで構成し、 「耳のすぐ近くで空間を彫刻する」ニアフィールド立体音響として設計されています。 ピアノの内部音、ハンマー、鍵盤のメカニカルノイズを分解・配置 ディレイや残響を細かくレイヤーし、前後・奥行き・高さの感覚を彫刻 Ableton Live と Max for Live によるライブエレクトロニクス TouchDesigner と連携した AI モーフィング映像 音を“立体的に聴く”ことによって、 観客は自然と「何に近づいているのか」「どこから鳴っているのか」という 距離の感覚を取り戻していきます。 その距離感の回復こそが、テクノロジーとどう向き合うかを考えるための 小さな入口になれば──という願いを込めています。
Info & Credits
Info Premiere: November 2025, EARTH+GALLERY (Tokyo) Format: Installation concert for piano, live painting, near-field spatial sound Duration: ~60 min (4 sections) Credits Artistic Direction, Composition, Piano, Spatial Sound Design: NAKAMURA Hiroyuki Live Painting: NOTO Maria Soprano Saxophone & Engineering (Opening Set): UTSUGI Koichi Visual System & AI Morphing: NAKAMURA Hiroyuki (TouchDesigner) Live Electronics: Ableton Live, Max for Live Venue: EARTH+GALLERY, Tokyo
